使途不明金と使途秘匿金

税額が大違い


 使途不明金とは、領収書などで金額や支払先が分かっているものの、その目的が明らかでない支出を指す。簡単にいうと、本当に会社のための支出かどうかも分からず、支出の目的、効用、用途について確認が取れないものだ。ただし書きのない領収書や、領収書がもらえない謝礼・リベートなどがこれに当たる。会社の事業と関係のある費用かどうかの判別がつかないことから経費とは認められず、損金不算入となる。

 

 一方、使途秘匿金とは支払先の名前も使い道なども不明なものをいう。取引先役員等への裏リベート、総会屋対策費、談合のための費用、政治家への裏献金、地元対策費、賄賂など、いずれも表沙汰にはしたくない費用だ。もちろん損金不算入である点は使途不明金と同様だが、不明金がおおむね4割程度の上乗せ課税であるのに対し、秘匿金はほぼ倍額がペナルティーとして税額に乗ってくることになる。

 

 このように企業にとっては重い負担となるが、使途を秘匿すること自体は法人税法上違法というわけではなく、その支出も刑事罰の対象とはされていない。とはいえ、仮に重いペナルティーを払ったとしても、それで課税庁による質問や検査がなくなるわけではない。2014年度の税制改正では秘匿金課税が時限的措置から恒久的措置へと格上げされている。(2018/10/29)