会社の解散・清算

清算人には第二次納税義務


 会社を解散、清算する際には、所有する資産や負債を明確にして残余財産を確定しなくてはならない。会社の解散に伴う手続きは、①解散、②清算、③残余財産の確定――という3つの段階を経て進む。各事業年度を「解散事業年度」「清算事業年度」「残余財産確定事業年度」として確定決算を行い、それぞれ確定申告をしなくてはならない。

 

 解散事業年度の確定申告では、期首から解散月までの損益計算をして決算を行う。確定申告書には、貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・勘定科目内訳書を通常の事業年度と同様に添付することになる。

 

 解散事業年度が済むと清算事業年度が開始される。3月決算の法人が9月に解散すれば、清算事業年度は10月から翌年9月までだ。残余財産確定事業年度の確定申告は清算事業年度と同様に、その事業年度に生じた益金から損金を差し引いた金額が法人の所得金額で、これが最後の決算申告となる。

 

 会社の解散に伴い「取締役」という役職はなくなり、「清算人」が清算事務を行うことになる。中小企業であれば取締役であったひとがそのまま清算人に就任することが多い。このとき、清算人に対して報酬を支払うことも認められている。また、解散株主総会の決議があれば退職金を支給することもできる。この退職金は残余財産の確定で未払金として計上する。

 

 解散・清算した会社が納付するべき国税が納められていない場合、清算人には会社に代わって納税する「第二次納税義務」がある。そのため、清算後に課税所得や納税金額が発生しないように清算期間の所得計算に注意が求められる。(2018/12/26)