両親が相次いで死去

相続税軽減


 父親の死後数年も経たないうちに母親も死亡してしまうと、父から母への相続で税金をかけられた財産に対して、子への相続でも再び相続税がかかることになってしまわないか――。

 

 こうしたケースでは、同じ財産に短い期間で2回相続税が課されることになってしまうため、最初の相続から10年以内に再び相続が発生したときには、2度目の相続にかかる税金を一定額まで差し引ける特例が設けられている。これを「相次相続控除」という。

 

 相次相続控除による軽減額は、最初の相続での母親の取得額や、相続財産全体の額によって変わるが、おおむね1度目の相続と2度目の相続の間隔が短いほど多く差し引けるようになっている。同じ年に2度目の相続が発生すれば、最初の相続税のほぼ全額を控除できる。そこから1年経つごとに約1割ずつ控除額が減り、9年後に2度目の相続が起きたなら、控除できるのは1割程度だ。

 

 また、両親のどちらもが死亡した時点で、先に亡くなったほうの財産についての遺産分割協議がまだ終わっていなければ、2度目の相続税負担をゼロにできる可能性もある。残された子らの分割協議の結果、「母は、父の相続では何も取得しなかった」とすることで、母からの相続財産そのものを減らせるわけだ。ただし、2度目の相続税の申告期限までに最初の遺産分割協議を終えていないと、法定相続分である2分の1に当たる財産を自動的に配偶者が取得したと判定されてしまうので注意したい。(2019/03/06)