ペットに財産を残したい

負託付遺言か遺産信託で実現


 家族同然に暮らしてきたかわいいペットや長年パートナーとしてサポートしてくれた盲導犬などへ、自分の死後に財産を残しておきたいと思う人がいても不思議ではない。実際アメリカでは、多くの州でペットに一定の財産を相続させるための制度がある。だが、いまの日本では、ペットに遺産を相続させることはできない。

 

 法律上、ペットはヒト以外の「物」として扱われ、民法では相続や遺贈を受けることができるのは「相続人」、つまり「人」に限られるからだ。したがって、ペットに財産を相続させるような遺言を作成していたとしても、その遺言は法律上無効とされる。

 

 そのためペットに財産を残すには遺言ではなく、「負担付き遺贈」の方法が考えられる。相続人に対し、「遺産を受け取るとともに、ペットの面倒を見なければならない」という遺言を残しておくのだ。

 

 ただし、故人の言いつけ通りに相続人がまじめに世話をするとは限らない。より確実な方法は、遺産信託の利用である。遺産を信託管理人の管理下に置き、ペットのために遺産を使ってもらうようにする。これであれば、遺産を他の人に渡さずにすみ、被相続人の希望に近い形で遺産が利用される可能性が高い。(2017/07/02)