ビル・ゲイツ氏も賛同〝ロボット税〟

欧米で導入検討


 欧米で「ロボット税」の導入が議論されている。2016年5月、欧州議会法務委員会のマディ・デルボー議員が、「ロボットの普及によって不平等が拡大する懸念ある」とし、ロボットへの課税を提案したが、これは翌年2月に否決されている。

 

 だが、この「ロボット税」に対して、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が賛同している。自称〝テクノロジーの楽観主義者〞というゲイツ氏だが、ロボットの急速な発展には危機感があるようだ。

 

 米メディアのインタビューでは、「ロボットは将来、例えば倉庫作業や運転などの人間の仕事を奪うことになるが、その置き換え速度を抑制するためにもロボット課税は有効だ。現在働いて税金を支払っている人間がロボットに置き換えられれば、ロボットに同等の税金を課すべきである。その税金で、人間の方がロボットより適した新たな職を作れる。その職とは、高齢者支援や教育関連など、共感や理解の能力を必要とするものだ」と、ロボットに取って代わられる人間への配慮を口にした。

 

 一方、日本では、ロボットへの課税については自動車産業を中心に否定的な声が多い。ロボット台数の比率が欧米と比べても高いため、もしロボットに課税すれば、工場がますます海外に移転し、下請けが倒産する危険性を指摘する人もいる。しかし、50年後には日本の人口は8000万人まで激減すると予測されている。その時、人手不足を補うため全産業をロボットたちが支えていればロボット税を受け入れざるを得ないかもしれない。(2017/10/04)