テナントビル・借家の立ち退き料

受け取ったら所得区分は?


 建物の取り壊しなどのためにテナントビルや借家から出て行かざるを得ないときに大家から受け取る「立ち退き料」は、所得税を計算するうえで、その内容によって「譲渡所得」「事業所得」「一時所得」といった3つの所得に区分される。

 

 まず、借家権などの権利が消滅することへの対価であれば譲渡所得だ。また、その家屋で行っていた事業を休業・廃止せざるを得なくなったときの営業上の収益補填に相当する分は事業所得。そして、立ち退きにあたって必要な移転費用の補償は一時所得となる。

 

 この3区分のうち、ある所得の黒字を別の所得区分の赤字で相殺できる「損益通算」は、事業所得と譲渡所得にしか適用できない。

 

 また、一時所得にあたる収入なら「総収入金額-その収入を得るために使った金額-特別控除額(最高50万円)」といった計算式を使うが、ほかの所得区分の収入は別の算出方法を用いる。そのため、立ち退き料の所得区分が3つのうちのいずれに該当するのか、きちんと整理しておく必要がある。(2016/05/31)