なかなか厳しい資産フライト

親子とも居住年数10年超


 財産を持って国外へ移住——そんなことを考えても、資産移転を実行するのはなかなか難しい。

 

 日本から海外への移住をめぐる税金のルールは、近年になって急速に厳しくなっている。かつては相続人と被相続人の双方が5年を超えて海外に住んでいれば、海外資産に対しては日本国内での相続税は課されなかった。

 

 しかし2017年4月以降は、5年超という要件が2倍の10年超に引き上げられた。これまでは親子ともに海外に移住して5年を超えれば相続税の対象外となったが、現状ではたとえ9年住んでいても日本の相続税が課せられる。

 

 税金対策のためだけに慣れない海外に10年間住むのは困難を伴う。もしも海外移住を検討するなら、税負担だけでなく、家族も含めたライフプランまでをしっかり考慮したいところだ。(2020/10/09)