顧客や見込客、取引先などを紹介してもらった場合、紹介者に渡す「お礼」は税務上どのように扱うのか。国税当局の通達によれば、情報提供や仲介を業務とする専門業者が相手であれば、その対価は「情報提供料」として損金に算入できる。
友人に、その知人を紹介してもらうようなパターンでは、謝礼金としての性格が強くなるため、原則的には交際費に含まれる。交際費であっても条件次第で損金になるが、できることなら情報提供料にしたいところだ。
謝礼金を情報提供料にするためには、①謝礼金があらかじめ締結された契約に基づくものであること、②謝礼を受けるための条件が契約で具体的に明らかにされていること、③謝礼金の額が対価として相当の金額であること――という3つの条件を全て満たす必要がある。これをクリアすれば個人への謝礼金も「情報提供料」として損金に含めることができる。
つまり前もって「新しいお客さんを紹介してくれたら謝礼をこれだけ払いますよ」という条件を明らかにしておき、その額が過大でなければ損金に含められるわけだ。口頭での約束も無効ではないが、課税当局への説明のしやすさを考えれば、条件を記載した書面を残しておきたい。
その一方、客が紹介先を連れてきて、「私のおかげで契約につながったのだから、少しお礼をしてよ」と要求されて支払った金額は交際費となる。
情報提供料として確実に経費化するには、前もってチラシやパンフレット、ポスターなどで「ご紹介キャンペーン」の条件を告知しておくのが確実なようだ。(2020/10/19)