「除外合意」で遺留分対策

自社株を後継者に集中


 オーナー企業の事業承継は、後継者への自社株引き継ぎが重要なポイントとなる。しかし自社株の引き継ぎにあたっては民法上の大きな課題があることを忘れてはならない。

 

 相続が発生すると、後継者以外の相続人にも遺留分が発生する。仮に先代が後継者への経営権の集中を前提とした遺言を残したとしても、民法上の規定として、他の相続人には遺留分減殺請求の権利が存在する。それを避けようと生前贈与を行っていても、民法上の「特別受益」として扱われ、遺留分減殺請求の対象となってしまう可能性がある。

 

 この問題を解決する方法のひとつに、遺留分に関する民法特例、いわゆる「除外合意」がある。この特例では、相続に関わる全員の合意があれば、ある財産を遺留分の対象となる基礎財産から外すことができる。仮に他の相続人が不満に思っていたとしても、先代が目を光らせているうちに合意を取り付けておけば、死後の遺留分リスクを解消できるわけだ。

 

 もっとも相続人の不満は別の形で噴出する可能性が高いので、全員が納得する相続対策を講じておくのがベストであることは言うまでもないだろう。(2020/10/16)