銀行や取引先が債権を放棄

債務免除益で法人税の負担が増すの?


 金融機関が融資先企業の経営再建などを目的に債務を免除することがあるが、会社は債務免除を受けると、免除された額が「債務免除益」となり、課税対象となる。

 

 通常、銀行が債権1億円を放棄すれば、会社は1億円の利益があったことになり、税率を23・9%とすると2390万円の法人税が課税される。しかし、経営が厳しくて債務免除された会社が多額の税金を納めることは現実的ではなく、銀行としては債務免除が経営をさらに圧迫するようでは債権放棄した意味がない。

 

 そこで税務上、債務免除益などの所得があったときは、その事業年度以前の欠損金(赤字)を繰り越して債務免除益から控除できる制度があり、多額の税金を納めずに済むようになっている。その要件は、①青色申告法人であること、②繰越期間は翌事業年度以後9年間、③翌事業年度以降から順次控除すること――となっている。

 

 なお、債権者である会社が取引先再建のために債権放棄をすると、その損失負担による経済的利益は寄付金にならず損金にできる。(2017/02/08)