遺言を残して生命保険も活用

承継後のスタート円滑に


 遺言などの準備をしないまま先代経営者が死亡してしまうと、自社株や事業用資産は民法の手続きに則って分配されることになる。もし先代の個人財産の多くを自社株式が占めていると、他の相続人の同意がない限り株式が各相続人に分配されてしまい、後継者に自社株を集中させることができない恐れが生じる。

 

 しかし、誰か一人にだけ自社株と事業用資産を相続させようとすると、他の相続人が反発するかもしれない。そこで、生命保険などを組み合わせ、全員が納得できるようにしておきたい。

 

 遺産分割協議がもめると裁判所の調停や審判に時間を要し、その分だけ承継後の経営のスタートも遅れる。家庭裁判所のまとめたデータによれば、遺産分割で調停・審判が行われたケースのうち、6カ月超1年以内を要したものが約3割、1年超2年以内を要したものが約2割と、半数が解決までに半年以上の期間を要している。(2019/10/09)