軽減税率対応費用への補助金

ややこしい3つの〝締切〟


 来年10月1日に予定される消費税率の引き上げまで1年を切った。今回の増税では8%と10%という2つの税率が導入されることもあり事前の準備が必須となっている。複数税率に対応したレジや受発注システムの改修には、国からの補助金が出る。

 

 補助率はレジ導入と受発注システムの改修で異なり、レジならば3通りに分かれる。タブレットなどの汎用端末であれば2分の1、導入するのが1台のみで費用が3万円未満であれば4分の3、それ以外がかかったコストの3分の2だ。

 

 上限額はレジ1台当たり20万円だが、新たに商品マスタの設定や機器設置運搬などに費用がかかる場合には、さらに1台あたり20万円を上乗せし、どれだけ導入しても1事業者当たり200万円が補助を受けられる最高額となる。

 

 一方、受発注システムの改修では、原則として改修コストの3分の2が補助される。小売業者なら1000万円、卸売業者なら150万円が上限だ。過去の2度にわたる増税延期のあおりを受け、補助金の申請期限ものびのびになっているが、補助金の申請の締切は現在のところ来年12月16日となっている。

 

 ただし気をつけたいのは、この補助金の締切は1つではないということだ。補助金は原則として、対象となるレジやシステムを導入した後に領収書などを添付した申請書を提出する事後申請方式となっている。この事後申請の提出期限が前述の12月16日だが、補助対象となる事業の完了、つまりシステムの導入完了および支払い完了については、さらにさかのぼって19年9月30日、つまり増税の前日までに終えなくてはならない。

 

 最終的に12月16日に間に合えばいいからと、システム改修自体をぎりぎりまで怠っていると、事業完了の締め切りを過ぎてしまう可能性もあるので気を付けたい。さらに補助金のうち、システムベンダーなどに受発注システムの改修・入れ替えを依頼する「B-1型」のみは、事後ではなく事前申請が必要となる。

 

 「B-1型」では業者に専門的なシステム開発を依頼するため、申請も業者が代理で行う。その際には、発注段階の「交付申請」、実際に開発および導入を済ませて支払いが終わった後の「完了報告」の2段階申請が必要だ。この1段階目の交付申請の締め切りは19年6月28日となっている。

 

 まとめると、「B-1型」の受発注システムを導入するのなら、まず来年の6月28日までにベンダー業者を通して交付申請を行い、その後申請内容に基づいて9月30日までにシステムの導入を終え、最後に12月16日までに完了報告書を提出する――という手続きを踏む。3つの締切に惑わされず、もらえるものはキッチリもらって万全の体制で10月を迎えたい。(2018/11/15)