個人が資産を売って売却益が出ると所得税や住民税がかかる。ただし、同一年内に他の売却で損を出せば、売却益と売却損を相殺して、売却損の方が多ければ税金はかからない。この際、資産を売って得た売却益にかかる税金は資産の種類によって計算方法が異なる。
土地や建物などの不動産では、まずその不動産の所有期間を確認しなくてはならない。所有期間が売った年の1月1日時点で5年以下であれば短期間での処分として売却益の約40%(39・63%)という極めて高い率の税金がかかる。
一方、所有期間が5年を超えれば、約20%(20・315%)の税金で済む。売却時が5年を超えるかどうかギリギリのときは慎重な判断が求められるだろう。また、所有期間は売った年の1月1日現在で計算するため、実際の所有期間よりも短くなることに注意が必要だ。
売却する資産が相続や贈与で取得したものであれば、もともとの所有者である被相続人や贈与をした側の人が取得した日から計算することになる。つまり、被相続人や贈与をした人の所有期間と自分の所有期間を合わせて計算するので間違えないようにしたい。
売却損益の計算にあたっては、「売却代金-(取得費+売却費用)」で計算する。取得費は資産の購入代金や取得に際してかかった費用だ。なお、建物は所有期間分の減価償却費を差し引く必要がある。購入時より安く売ったため税金はかからないと一方的に決めつけてしまう人もいるが、そういうわけではない。売却する不動産が相続や贈与で取得したものなら、もともとの被相続人や贈与をした人の取得費を引き継ぐことになる。
土地や建物の取得費が不明なら、売却代金の5%とすることも可能だ。さらに、同じ年に2つ以上の不動産を売った場合は、不動産ごとに売却損益を計算することになる。売却益と売却損が出れば相殺して、売却益が多ければ相殺後の金額に税率をかける。所有期間が5年以下の売却損(益)と5年超の売却(損)益も相殺できるので、くれぐれも見落としのないようにしたい。(2020/07/13)