印紙税は、課税対象になる文書(課税文書)を作成したときに納税義務が発生する。ここでいう作成とは、単に作ること自体をいうのではなく、文書を「その目的に従って行使すること」をいう。
機械を製造している会社が機械の発注を受け、請書に1万円の印紙を貼って取引先へ持参したところ、「機械の設計変更をしたいので請書を書き換えてくれ」と言われたとする。
この場合、新たに請書を作り直し、別の1万円の印紙を貼って先方に渡すことになるが、不要になった元の請書の印紙は、文書に貼られたままになる。こうしたケースで、仮に払い戻しを受けられないのであれば、印紙を再利用できずに1万円を損してしまう。
しかし、請書は相手方に渡すことを目的に作成される文書であり、「その目的に従って行使」(作成)したことになるのは、相手に渡したときだ。今回の場合では、印紙税法上の「作成」がないまま、つまり印紙税の納税義務が成立しないままなので、結果からみれば納税義務がないにもかかわらず印紙税を納付したことになる。
このため、文書に貼り付けた印紙に相当する金額は、過誤納金として還付の対象になる。還付を受けるには「印紙税過誤納確認申請書」と、印紙を必要以上に貼ってしまった文書を所轄税務署に提示して、印紙税過誤納の確認を受ける必要がある。
還付は税務署から現金を直接渡されるわけではなく、銀行などの口座を通じて行われる。なお、納税者が作成した文書は、印紙に「過誤納処理済」のスタンプが捺されて戻ってくる。(2016/07/09)