認知症高齢者の控除

要介護認定と税務は別処理


 障害者控除は所得税法で規定されている税負担軽減特例のひとつで、障害の程度によって27万円〜75万円が所得から控除される。控除の対象となるかどうかは、原則的に「障害者手帳」などの所有の有無で判断される。

 

 しかし、手帳を持っていないひとでも、65歳以上で障害の程度が「障害者手帳などを持っている知的障害者や身体障害者に準ずる」と市町村長や特別区の区長から認定を受ければ、障害者控除の対象となる。

 

 程度にもよるが、認知症による要介護や要支援の人も該当することがある。税務上の障害者控除の認定を受けるためには、市町村の高齢者福祉課などに「要介護や要支援認定者の障害者控除の認定」の申請をして、障害者控除対象者認定書を入手する必要がある。要介護・要支援の認定が受けられれば、確定申告書の「勤労学生、障害者控除」の欄にその旨を記入することで控除が適用可能だ。

 

 障害者控除を受けることを忘れる人が多い理由のひとつには、認知症による「要介護や要支援の認定」と、税務上の「障害者控除の認定」がセットで行われないことがある。どちらも認定者の住所地の市区町村が行うものの、両者の認定は別々に行われているため、認知症によって要介護や要支援の認定をされても障害者控除の認定がされたわけではない。なお障害者の税負担を軽減する特例は相続税にもあり、85歳に達するまでの年数1年につき10万円(特別障害者は20万円)の税額が控除される。(2019/02/27)