花粉症の医療費控除

予防ではなく「早めの治療」ならOK


 日本気象協会によると、今年飛散する花粉量は、関東では過去10年で最大だった昨年に比べれば少ないものの、西日本や東北などでは昨年並みか、それ以上に飛散する地域も多いという。この時期だけは目薬や鼻炎薬を手放せないという人も多いだろうが、これらの薬の購入費用は原則的にすべて10万円を超えた医療費を所得から差し引ける「医療費控除」の対象となる。医者にかかったのなら、診察料と薬品代ももちろん控除対象だ。

 

 最近では、舌の下にアレルギー物質を含むエキスを投与して免疫力を増加させる「舌下免疫療法」が注目されているが、これも数年前に保険適応治療として認められ、控除対象となっている。ただし比較的新しい治療法で、副作用が生じるとの報告もあるので、必ずリスクを把握した上で実行するようにしたい。

 

 花粉症がひどい人なら、毎年、花粉が飛散する前の1月〜2月に、病院でステロイド注射を受けておくというケースも多い。インフルエンザの予防接種など「予防」にかかる費用は原則として医療費控除の対象とはならないが、花粉症に関してはあくまで「早めの治療」として認められ、控除対象に含まれる。

 

 医療費控除の対象とならないのは、花粉症患者がこの時期欠かすことのできないマスク代や、ティッシュペーパー代だ。医療費控除はあくまで「治療行為」を対象としているためだ。また薬といっても、サプリメント(栄養・健康補助食品)など「医薬品」の表示のないものは、医師の指示がある場合を除いて対象にならない。近年では、顔に噴射することで花粉の付着を防ぐという売り文句のスプレーなども販売されているが、これも医薬品ではなく雑貨扱いのため、医療費控除の対象にはならない。(2019/03/13)