自社製品を社員に値引き販売するときに価格をあまりにも低く設定すると、社員は給与と同様の利益を得たと税務上で判断されて課税されることがある。
給与所得は、会社から受け取る給料や賞与などの金銭だけではなく、「安い価格で不動産を借りることができる」、「食事を支給される」、「会社の商品を安く買える」――といった権利から受ける利益(経済的利益)も含まれる。これらの利益があるときは、社員は給与を受け取ったものとして給与課税される。
社員への値引き販売については、①値引き販売価格が商品を取得した額以上であり、かつ一般価格のおおむね70%未満でないこと、②値引き率が役員や社員の全部について一律もしくは地位や勤続年数に応じて合理的なバランスが取れていること、③値引き販売する商品の数量が生活のために通常消費する量にとどまっていること――が非課税になる条件だ。
なお、自社製品の値引き販売であっても、住宅販売業者が不動産を社員に販売したときは、たとえ通常の販売価格の70%以上の価格設定であっても、経済的利益の額が極めて多額であるため給与課税される。(2016/12/04)