胎児だって相続人

出生前後で手続きに違い


 法定相続人には年齢条件がなく、生後間もない赤ちゃんはもちろん、胎児であっても「既に生まれたものとみなす」と民法886条で定められているので相続権が与えられる。ただし死産になると権利は失われる。つまり、胎児が無事に生まれてくるかどうかによって、誰が相続人になり、その相続分がいくらなのかも変わるということだ。

 

 また遺産分割協議書の作成にあたっては、たとえ乳幼児であっても、その子に代わって親が協議書に同意することは許されない。同じ財産を巡って親と子どもの利害が対立する相続もあるため、親が自分に有利な内容とする恐れがあるからだ。

 

 そのため協議書の作成にあたっては、「特別代理人」の選任を家庭裁判所に申し立てることになる。相続税の申告については、胎児であるのか、すでに出生しているのかで違ってくる。申告期限までに出生していなければ、胎児がいないものとしていったん各法定相続人が相続税の計算をして申告し、出生後、生れた子どもの法定代理人が10カ月以内に申告することになる。その他の法定相続人は、相続税の計算をし直して4カ月以内に更正の請求を行う。

 

 一方、申告期限までに胎児が出生していれば、通常通りに相続税の申告を行う。ただし、胎児の申告期限については法定代理人が「胎児が生まれたことを知った日の翌日」から10カ月以内だ。なお相続または遺贈に関する相続税の未成年者控除は、満20歳までの年数1年につき10万円となっている。(2017/12/20)