税金独特の用語「生計を一」とは?

同居ではなくお金が基準


 税法の条文や関連する通達を開くと、至るところで「生計を一にする」という言葉に出くわす。控除の対象となる配偶者、扶養親族、寡婦・寡夫の定義に関する規定や、雑損控除、医療費控除、配偶者控除、地震保険料控除などに関連した項目で多く見かけるのがこの「生計を一にする」だ。

 

 その言葉からは、「同じ屋根の下で生活を共にする人」をイメージするが、実は「生計を一」は、意外と幅広い範囲を指している。単純に誰かが誰かを扶養するということではなく、必ずしも同居を要件ともしていない。

 

 あらためて整理すると、所得税法の「生計を一」には、勤務、修学、療養などの都合で、他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学などで、その余暇にはその親族のもとで起居を共にすることが常例となっているときや、これらの親族間で常に生活費や学資金、療養などの送金が行われているときには「生計を一」と認められる。

 

 逆に、親族が同一の家屋に起居していても、明らかに互いが独立した生活を営んでいれば「生計を一」とはいえない。「生計を一」というからには、生活の資金を共にしていることが必要だ。(2018/07/05)