私的流用で追加課税

所得税はもちろん法人税、消費税も


 日産自動車のカルロス・ゴーン元会長が金融商品取引法違反で逮捕された事件では、ゴーン氏による会社の資金の私的流用の疑いも出ている。これまで経費として計上してきたものが、税務調査によって「ゴーン氏への個人的な支出」とみなされれば、ゴーン氏個人の所得税はもちろん、日産が納めてきた法人税や消費税も追加で課税される可能性がある。

 

 所得税の追徴課税は分かりやすいが、法人税と消費税の追徴については多少の税の知識が必要かもしれない。会社の損金にできる役員給与は原則として事前に決まっていた額に限られる。つまり、これまで経費として計上してきた費用が税務署に個人の役員給与と判断されると、会社の損金が減り、結果として法人税額が増えることになる。

 

 また経費性が否認されると、仕入れに計上していた消費税も認められなくなるため、その分の消費税の課税も生じる。なお、納税が遅くなったことに対する延滞税や、悪質な税隠しとみなされれば重加算税も課税される可能性がある。

 

 役員の個人的な支出が混入していることが多い経費は交際費、福利厚生費、消耗品費などで、税務調査ではそれらの費用を厳しくチェックされる。私的流用がばれると何種類もの税金が課税されてしまうので注意が必要だ。(2019/01/16)