災害列島に住む日本人にとって、被災者生活再建支援法は必要不可欠な法律だ。自然災害により居住する住宅が全壊・半壊するなど生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対し、支援金を支給して生活再建を支援するもの。
2000年の鳥取西部地震を受け、04年3月に法改正。支援金の上限は300万円に増額され、住宅解体撤去、ローン利子払いなどの住宅関連費用への支出が可能となった。適用される自然災害は「暴風・豪雨・豪雪・洪水・地震」などで、「戦争・火災・大規模事故」などの被害は含まれない。ただし、「原子力発電所の放射能漏れ事故の原因が、地震、津波の影響によるもの」であれば、支援の対象とされる。しかし東日本大震災では、原発避難者が対象外とされている。
この法律が誕生したのは1995年の阪神・淡路大震災がきっかけだ。当時の村山富市首相は「自然災害の被害は自助努力による回復が原則」として、被災者支援は義援金に頼るしかないとの姿勢を示したが、これに対し「公的支援が必要」と、神戸市の「コープこうべ」が全国の生協とともに、「地震災害等に対する国民的保障制度を求める署名推進活動」を開始。全国から2400万人の署名を集め、橋本龍太郎首相に提出した。
以降、法制定の気運が高まり、1998年4月、自民党案、野党案、市民立法案を一本化して、6党合同の議員立法によって成立した。被災者生活再建支援法は、市民自身が強く望み、発意して成立した法律だといえる。(2017/09/08)