父母が相次いで死亡

相続税の負担を軽減できる制度


 父親の死後数年たたないうちに母親も死亡すると、父から母への相続で税金をかけられた財産に対して、子への相続で再び相続税がかかることになる。

 

 同じ財産に短期間で2回相続税が課されることになってしまうため、1度目の相続から10年以内に再び相続が発生したときには、2度目の相続にかかる税金を一定額まで差し引ける「相次相続控除」の特例が設けられている。

 

 軽減額は、一度目の相続での母親の取得額や、相続財産全体の額によって変わるが、おおむね1度目の相続と2度目の相続の間隔が短いほど多く差し引けるようになっている。

 

 母親が死亡した時点で、父親の財産についての遺産分割協議がまだ終わっていなければ、母から子への相続税負担をゼロにできる可能性もある。母親固有の財産がなければ、残された子らの分割協議の結果、「母親の取得財産はなかった」とすることで、母親の相続財産そのものをゼロにできるわけだ。

 

 ただし、母親の相続税の申告期限までに父親の遺産の分割協議を終えていないと、法定相続分である2分の1に当たる財産を母親が取得したと判定されてしまうので注意が必要だ。(2020/10/05)