消費税の課税期間を短縮

早期に税還付も事務負担増大


 消費税の還付金は、通常は1年間の課税期間が終わった後でなければ受け取れないが、「消費税の課税期間の短縮」という特例を使うことによって受け取る日を早めることができる。

 

 例えば、事業年度を9月から翌年8月とする法人が、9月に設備投資をしたことで仕入分の消費税の割合が高まり、還付の対象となる見込みが立ったとする。消費税の還付申告の時期は、法人なら事業年度終了から2カ月以内の期間と決められているので、還付金は翌年の9〜10 月(事業年度終了からの2カ月間)に還付申告をして税務署での審査を経た後、すなわち設備投資をした9月から1年以上経ってからでないと戻ってこない。

 

 1年待たずに還付金を受け取るには、消費税の課税期間を3カ月もしくは1カ月に短縮すれば良い。課税期間の短縮手続きは、課税期間終了の前日までに「消費税課税期間特例選択届出書」を納税地の所轄税務署長に提出すれば完了する。

 

 課税期間を1カ月にすれば、9月に設備投資した分の消費税について10月に還付申告ができ、その内容に問題がなければ年内に還付金を受け取れる。ただし、課税期間を短縮すれば当然、申告を3カ月ごと、あるいは毎月行わなければならなくなり、煩雑な作業を強いられる。しかも課税期間を一度短縮すると、最低2年間はその課税期間で申告しなければならない。事務負担の増加というデメリットも加味して慎重に判断 したい。(2019/11/01)