個人事業から細々とはじめたビジネスが軌道に乗り、さらなる発展を目指して法人成りするケースがある。その際、創業当時から苦しい経営を支えてくれたパートナーが、法人成りを区切りとして退職することになったとする。経営者としてはその労に報いるために退職金を用意したいところだろう。
ただし、その場合には注意が必要だ。個人事業時代からの功績を加味した退職金の支払いには当局から「待った」がかかることがある。法人となってからの退職金に加味されるのは、あくまでも法人への貢献度であり、個人事業時代の退職給与支給額を確定債務として未払い計上していなければ、個人事業時代に対応する分の退職金は会社の損金にはならないからだ。
もちろん、法人設立後に相当期間を経た後の退職であれば、退職給与の全額を法人の損金に算入できる。なお、役員退職金の金額は、最終役員報酬月額×役員在任期間×功績倍率で計算される。最終月給100万円、役員期間30年で、社の代表であれば功績倍率は3倍で9000万円。これが専務なら2・5倍、常務なら2倍、取締役なら1・5倍を相場として計算されることが多いようだ。(2018/03/19)