未回収の売掛金

簡単には損金にできない


 回収の見通しが立っていない売掛金は損失として計上することができるが、それには厳格な条件をクリアしなければならない。確実に損失として認められるのは、会社更生法や民事再生法などの規定に基づいて取引先の買掛金の返済義務が法的に消滅した場合だ。

 

 また、取引先の資産状況や支払い能力から判断して全額を回収できないことが明らかで、そのことを税務署に証明できれば損金となる。さらに、取引を停止して1年以上が過ぎ、かつ回収するためにお金をかけてもその取り立て費用さえカバーできる見込みがなく、支払いを督促しても弁済がないなら、売掛金の額から1円を控除した残額を「貸倒れ」として損金経理をすることができる。

 

 回収できる可能性がゼロに近くなければ損金にできない。このため取引先の「業績悪化」などでは、単純に「支払ってくれない」だけだとして「貸倒損失」の理由にならず、損金にできない。(2020/05/25)