手帳がなくても控除対象

認知症の介護と税務は別扱い


 障害者控除は所得税法で規定されている税負担軽減特例の一つで、障害の程度によって27万円〜75万円が所得から控除されるというものだ。控除対象となるかどうかは、原則的に「障害者手帳」などの所有の有無で判断される。しかし、手帳を持っていなくても、65歳以上で障害の程度が「障害者手帳などを持っている知的障害者や身体障害者に準ずる」と市町村長や特別区の区長から認定されれば、障害者控除の対象となることはあまり知られていない。

 

 こうした認定を受けられる人には、認知症による要介護や要支援の人も該当する。認知症の高齢者は全国に約500万人以上いるというから、障害者控除を受けられるのにそれを知らずに損をしている人もかなりいるのではないだろうか。

 

 税務上の障害者控除の認定を受けるためには、市町村の高齢者福祉課などに「要介護や要支援認定者の障害者控除の認定」の申請をして、障害者控除対象者認定書を入手する必要がある。要介護・要支援の認定が受けられれば、年末調整の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」にその旨を記入することで控除が可能だ。

 

 年末調整までに間に合わなくても、確定申告を行うことで控除が受けられる。さらに市区町村から認定を受けて、それまでに控除漏れがあったときには更正の請求を行うことで還付も可能だが、申告期限から5年間という期限があるので注意したい。

 

 控除を受けることを忘れる人が多い理由の一つには、認知症による「要介護や要支援の認定」と、税務上の「障害者控除の認定」がセットで行われないことがある。どちらも認定者の住所地の市区町村が行うものの、その認定手続きは別々に行われているケースがほとんどだ。(2018/11/28)