愛人に残した生命保険

家族の相続税額が増える


 愛人に生命保険を遺してやろうと考える御仁もいるだろう。だが、受取人として生命保険をかけると、家族が支払う相続税額が増えてしまうことをご存じだろうか。

 

 例えば、相続人は妻と長女、相続財産は1億5000万円とする。基礎控除額は、3000万円+600万円×2人=4200万円となり、1億5000万円から4200万円を引いた課税遺産総額は1億800万円。ここから相続税の税率を掛けて計算すると、2人の相続税総額は1840万円で、各自920万円となる。だが、愛人が仮に5000万円の生命保険金を受け取ったとすると、生命保険は「みなし相続財産」とされ、相続財産にプラスされるので、相続財産は総計2億円となる。

 

 だが、愛人は相続人ではないので基礎控除額は変わらず4200万円。すると課税遺産総額は、2億円-4200万円=1億5800万円に跳ね上がり、妻と長女の税額もそれぞれ増えてしまう。(2020/04/08)