貸店舗とするための物件を建設するにあたり、入居予定のテナントから工事費用の一部または全部を借りることがある。この借入金を「建設協力金」といい、地主は入居者へ月々返済していくのではなく、一般的に5〜20年間で賃料と相殺するという契約とすることが多い。
建設協力金方式を採用する地主の最大のメリットは、初期投資を抑えることができるという点だ。返済を無利息とすることも多く、契約によっては地主の負担をゼロにもできる。また土地と建物の借り手があらかじめ決まっているので、竣工後に入居者を探す手間とコストがかからない。信用力の高い借り手であれば安定的な収入を得やすいともされる。
また、建設協力金は事業会社からの借入金なので相続の際に債務控除できる。相続税の負担を減らすことにもつながるわけだ。
テナントとしても、土地を借りて自ら建物を建てるわけではないので、土地の取得費用を抑えることができる。賃料は建設協力金の返済分で減額されるため、少ない資金で店舗運営ができる。建築物は借りる側の意向を取り入れた造りとなるので、地主が独自の計画に基づいて建てた建物と比べ、借り手としては使い勝手が良い。
デメリットとしては、テナントの意向に沿って建築した建物であるため、賃貸借契約が終了後に別のテナントを探しにくくなるリスクがある。またテナント側は建設協力金を回収できなくなるリスクを抱えなければならない。(2020/06/01)