差し押さえ可能な社会保険は?

担保にするなら福祉医療機構へ


 広義の社会保険に含まれる労災保険、雇用保険、健康保険、国民年金、それに厚生年金の給付を受ける権利は、原則として有償無償を問わず譲り渡すことができず、また借金をする際の担保にすることも、差し押さえることも認められていない。ただし、例外がいくつかある。

 

 まず、労災、国民年金、厚生年金については、「年金」として受け取る権利は、独立行政法人福祉医療機構等に担保にして資金の貸付を受けることが可能だ。旧医療金融公庫である同機構は、病院や社会福祉法人などへの貸付をメインで行っている。

 

 差押えが可能な給付としては、国民年金の老齢基礎年金、付加年金、脱退一時金、それに厚生年金の老齢厚生年金、脱退手当金、脱退一時金がある。このなかで老齢基礎年金、付加年金、老齢厚生年金、脱退手当金については課税の対象ともなっている。脱退一時金が非課税となっているのは、これが日本を離れ海外に帰る外国人を対象としているためだ。

 

 脱退一時金を受給すれば、被保険者であった期間は「なかったもの」として処理される。受給した年金保険が課税対象であることについては、社会保障の意義という面からも疑問の声がある。高過ぎる国民健康保険料(税)などとともに、今後議論が高まっていきそうだ。(2019/07/26)