外国籍の子に国外の財産を贈与

贈与者が日本在住なら課税


 永住目的で海外へ出国する人が増加している。外務省の資料によると、2017年の海外永住者は48万人で前年比3・4%増。平成以降、2002年を除いて毎年増加している。地域別には北米が23万人、欧州とオーストラリアがそれぞれ7万人となっている。

 

 子どもや孫が海外に移住することが珍しくなくなった時代、海外在住者が相続人となるケースも増加した。海外に資産を持っている人が、当該国の国籍を取得した子どもに資産を贈与する事例も増えている。

 

 アメリカの国籍を取得した娘にアメリカの土地を贈与する場合、日本に住んでいる親からの贈与であれば日本の贈与税が課税されることになる。アメリカ人がアメリカの土地を譲り受けたとしても、日本の税から逃れることはできないわけだ。

 

 ただし、過去15年間に日本に住所のあった期間が10年以下の「短期滞在の外国人」からの贈与については、贈与を受ける人が過去10年間に日本に住所がある日本人でない限り、国外財産に課税されることはない。

 

 また、贈与者が最近10年間、日本に住んでいない場合は、贈与を受ける人が過去10年間に日本に住所がある日本人でないのなら、やはり国外財産には課税されない。なお、留学や海外出張などで一時的に日本を離れている人は、日本国内に住所があるとみなされるため、国内外の財産に贈与税が課税される。(2019/12/25)