土地の「用途地域」を確認

事務所開設にも制限が


 不動産の購入にあたって、実はあまりよく理解していないケースが多い土地の「用途地域」。用途地域は1919(大正8)年に制定された旧都市計画法で住居地域、商業地域、準工業地域、工業地域の4種類が定められ、今日に至るまでに数度の改正を経て、現在では12種類となっている。

 

 極端に言えば、建物の混在化を防ぐためのもので、第一種低層住居専用地域ではマンションなどを建てずにお屋敷街としての環境を守り、工業地域では主として工場の利便性を増進することを目的としている。

 

 建築制限や用途制限は建築基準法や政令などで定められているのだが、事務所を構えるにしても居住目的であっても、土地や建物の購入の際には、まちと自身の将来像も踏まえてしっかり確認しておきたい。

 

 たとえば、第一種低層「住居専用」地域といっても、住宅だけが建築可能というわけではない。小中学校や老人ホーム、小規模店舗も建てることができる。これが第二種低層住居専用地域になれば、専用といっても150㎡までの一定の店舗や飲食店なども認められる。さらに、第二種住居地域ではパチンコ店やカラオケボックスも認められる。

 

 周辺地域を確認しないまま、「住居地域」だからといって快適な環境が保たれ続けると思い込むのは危険だ。また、自身が居住以外に使用する可能性があるときは、なおさら注意しておきたい。事務所を構えたり、なんらかの商いをしたりする予定があるのならば、用途地域を確認しておくべきだろう。たとえば、第一種低層住居専用地域で自宅に店舗を併設する場合には、店舗部分は延べ床面積の2分の1未満、かつ50㎡以下しか認められない。(2018/04/16)