名義株の放置は厳禁

創業30年超は要注意


 名義株とは、株式の名義上の所有者が誰であれ、実質的な所有者が他にいるのであれば、真の所有者は後者であるとみなされる株式のことだ。判例によれば株式取得資金の出資者、名義人と引受人の関係、取得後の配当金の帰属状況などをもって名義株は総合的に判断されるという。

 

 過去には、創業者の遺族が所有する自社株が実質的に創業者の「名義株」であるとして、80億円超の相続財産の申告漏れを指摘されたケースもあり、相続税対策を考える上では外すことのできない重要項目となっている。

 

 名義株が生まれるパターンとしては、創業時に形式上の株主をそろえるために親族や知人などへ声をかけて実際の取得資金は経営者自身が出した、というようなケースや、まだ幼い子や孫などに自社株を持たせるために親が資金を負担するといったケースがある。

 

 特に気を付けたいのが、平成2年以前に設立した会社、おおよそ創業30年を超える企業だ。平成2年に商法が改正されるまで、株式会社を起こすためには発起人を含めて8人の株主が必要とされていた。とはいえ実際には、新規に立ち上げる会社のために出資をしてくれる人はなかなか見つからないため、社長が親戚や知人から名前だけを借り、株式の取得資金は社長本人が全額を負担するということが当たり前に行われていた。これが多くの名義株の原因となっているわけだ。

 

 名義株問題を解消するには、相続が発生する前に株式を実質上の保有者の元に集約しておくことが肝心だが、スムーズに集約が進まない事も考えられる。たとえ株式の取得資金を負担したのが自分であろうとも、株式の名義を書き換える際には、名義上の所有者に了解を得なければならない。順調に了解を得られれば何の問題もないが、裁判沙汰になる可能性もゼロではない。説得するにせよ法廷で争うにせよ時間がかかることを踏まえ、一刻も早い問題の認識と解消への取り組みが求められる。(2018/11/14)