出張に配偶者同伴

会社が負担した旅費の税務は


 都知事を辞任した舛添要一氏は、公用車での別荘通いや政治資金でのプライベートな商品の購入といった「公私混同」をさまざまな場面で行っていた。

 

 公金での家族旅行疑惑もそのひとつ。千葉県のホテルに家族4人で宿泊した費用につき、公私混同を指摘されると、「事務所関係者が部屋に来て会議をした」と〝釈明〞した。

 

 会社の支出が「公」と「私」のどちらに該当するかによって税務処理は異なってくる。もし社長が出張に配偶者を同伴したときに、その旅費を会社が負担したとすると、税務上は一般的に、その旅費を社長に対する給与として課税対象とする。

 

 妻(夫)の旅費は「公」(仕事)に必要な費用ではなく、「私」(プライベート)のためのものであるとみなされるためだ。しかし、「奥さま外交」といった言葉もあるように、特に海外出張といった国際的な舞台では、企業トップの夫人がビジネス上で大きな役割を果たすこともある。

 

 また、夫人同伴を求めてくるイベントもある。このように仕事上の役割を果たすのであれば、配偶者の旅費に費用性が認められることもある。次に、出張中にプライベートで観光地などを訪れたときの税務を見ていきたい。

 

 出張の旅費として合理的な基準で計算されている運賃、日当、宿泊費、仕度金などの支出であれば、たとえ休日に観光地を回ったとしても、滞在中の旅費は費用となる。観光地を回るために特別に手当てが支給されているようなケースを除いて、原則的にいちいち休日分だけを旅費から取り出して処理する必要はない。

 

 ただし、例えば3週間の日程で「最初の1週間は仕事、残りの2週間は観光」といったように、業務と認められる出張と、認められない観光を併せて行なったときは、その割合を按分して費用性を算出する。(2016/07/13)