共有していた土地を分割

交換は等価でも原則課税


 相続などをきっかけに共有状態になった土地を、後から「やはり、兄弟それぞれで所有したい」として分割したとする。その際、分割後の土地の価額の比率が、持ち分の差におおむね等しければ、どちらにも譲渡所得税が課されることはない。例えば持ち分1:1で共有していた土地を、そのまま半分に分けたケースなどがこれに当たる。

 

 両者の持ち分が対等である必要はなく、もともとの持ち分が4:1であれば、分割後のそれぞれの土地の価額が4:1であれば課税関係は生じないということだ。価額についても厳密に持ち分通りである必要はなく、「おおむね等しい」と言える割合であればよい。要件となっているのはあくまで「価額」であるため、「面積」に差があっても問題ない。なお、分割した際の測量費用などは原則として取得費に加算される。

 

 気を付けたいのは、例えばAとBという2つの土地をそれぞれ1:1で共有していたケースで、「共有状態は不便なので、あなたの持つAの持ち分を私にください。私はBの持ち分をあなたにあげます」というような場合だ。土地の交換は価額が等しかったとしても、原則として譲渡所得税が課されてしまう。ただしこの場合でも、一定の要件を満たせば課税を免れる特例がある。特例を利用するための要件とは、①1年以上所有していた土地であること、②交換のためにわざわざ取得した土地でないこと、③交換後も元の用途と同じ使い方をすること、④両者の差額が2割を超えないこと――などだ。