作業服や制服は非課税?

かつての大阪市のスーツ支給はアウト


 従業員に支給または貸与する制服は、給与所得として源泉徴収する必要はない。従業員が制服の支給で得る経済的利益は、副次的、間接的な利益すなわち「反射的利益」であり、給与所得者に特別な利益を与えるものではなく、また給与所得者の役務提供に対する対価という性質も極めて希薄であるためだ。

 

 ただし、いくら会社が「制服」と呼んでいても、税務上も制服と認められるかどうかは実態によるので気を付けたい。じつは、非課税となる制服には一定の決まりがある。その事務服や作業服の貸与・支給が非課税となるためには、①もっぱら勤務する場所で通常の職務を行ううえで着用するもので、私用には着用しないあるいは着用できないものであること、②事務服等の支給または貸与が、その職場に属する者の全員または一定の仕事に従事する者の全員を対象として行われるものであること――が必要だ。

 

 ②についてさらに厳格にいえば、着用する者がそれによって、一見して特定の職員または特定雇用主の従業員であることが判別できるものであることが条件となる。会社から「制服」として支給され、職務の遂行にあたり現に着用されているものであっても、これらの要件を満たさないものは非課税とされる制服には当たらない。

 

 たとえば、かつて私服にもなり得る一般的なスーツを職員に支給した大阪市の場合などは給与所得にあたり、源泉徴収の必要があるというわけだ。民間企業は自社の資金で購入するが、大阪市の購入原資は当然ながら税金。当時、大きな問題となった。(2018/07/06)