交通事故などで被害者に支払われる慰謝料や逸失利益への補償金は、原則として課税されることはない。慰謝料は事故によるダメージを補てんするものであり、逸失利益はその事故がなければ得ることができた所得のことで、いずれも「収入」とはされず、所得税法にも非課税規定がある。
事故で亡くなり、遺族が受けた慰謝料も見舞金も、よほどの高額でない限り課税されない。
ただし、保険金を受け取ったときは注意が必要だ。被害者が加入していた保険会社から、遺族が見舞金や死亡保険金を受け取った場合は、課税されるケースがある。所得税がかかるのは、保険料を負担していたひとと保険金の受取人が同一のとき。つまり夫が妻の保険料を負担していて、その妻が死亡して夫が保険金を受けた場合などが該当する。
事業者が、事故で破損した商品について賠償を受けたときも、商品自体が売れることを想定しているものであるため所得税の対象となる。
相続税の課税対象となるのは、被保険者と保険料の負担者が同一の場合だ。交通事故で死亡した夫が、自分で保険料を支払っていた場合、その保険金を妻や子が受け取ることになる。このケースがこれに当てはまる。なお、保険金を一括で受け取れば相続税の対象だが、年金のように段階的に受け取れば所得税が課せられる(1年目は非課税)。
贈与税の対象となるのは、「被保険者」と「保険料の負担者」と「保険金の受取人」が全て異なる場合だ。贈与税は1年間に受けた贈与の合計から基礎控除額110万円を引いた額が課税対象となる。(2021/01/13)