やはり遺言書は書いておくべき

遺産分配のためマンション売却


 会社経営者のAさんが死亡した。後妻のBさんに残された財産は時価4000万円のマンションと2000万円の貯金で、遺産総額は6000万円。Aさんは病院のベッドで「遺産はお前に譲る」と言い残して息を引き取ったものの、遺言書は書いていなかった。

 

 1カ月後、Aさんの前妻であるCさんが、自分とAさんとの間の子に、法定相続分の遺産を譲るよう税理士を通じて求めてきた。遺言書がない以上、後妻のBさんは、相手に遺産の1/2である3000万円を渡さざるを得なかった。

 

 お金を用意するためにBさんは、住まいであるマンションを売り払った。Aさんは10年前、妻Cさんが不倫したことで離婚。その後Bさんと出会い、仲睦まじく暮らした。前妻との間の子どもへの相続分をどうするかも含め、Aさんは元気なうちに公正証書遺言を残しておくべきだった。(2018/01/29)