みしま・かいうん
明治11(1878)年生まれ。大阪府箕面市出身。生家は浄土真宗本願寺派水稲山教学寺。父の三島法城は教学寺の13世住職で、海雲はその長男。13 歳で得度し、京都の西本願寺文学寮に学ぶ。卒業後は山口県の開導中学校に英語教師として赴任。2年で職を辞して仏教大学(現・龍谷大学)に編入するが、復学直後に大学当局から中国大陸へ渡ることを勧められ、北京の東文学舎に寄宿する。明治36(1903)年には北京で雑貨貿易の「日華洋行」を設立。日本軍部からの依頼で軍馬の調達なども手掛け、中国とモンゴルで十数年を過ごした。この当時、遊牧民が好んで飲んでいた「酸乳」に出会う。大正4(1915)年に帰国すると酸乳、乳酸菌の普及をめざして製品化に取り組み、同6(1917) 年にはカルピスの前身となるラクトー株式会社を設立。発酵クリーム「醍醐味」や、乳酸菌の入った「ラクトーキャラメル」などを販売するがどれも失敗に終わる。しかし、その後も諦めることなく試行錯誤を繰り返し、遂に日本初の乳酸菌飲料となる「カルピス」の開発に成功。大正8(1919) 年7月7日に発売すると瞬く間に大ヒット商品となった。七夕に発売されたことを記念して、大正11(1922) 年からは天の川をイメージした水玉模様の包装紙を採用。このデザインも大好評となり、長く愛されるロングセラー商品となった。昭和49(1974) 年、96 歳で死去。