高額な医療・介護費をカバー

合算制度で年間67万円まで還付


 65歳以上の人口が2012年に3000万人を突破した。そのうち約600万人が介護保険の要介護認定を受けているという。高齢になると、医療費と介護費が同時期に必要になるため、医療費が高額になって支払えないのではないかと心配する人も多い。

 

 だが健康保険と介護保険では、自己負担額が一定額を超えると還付を受けられる制度がある。医療費は70歳未満の人が3割、70歳以上の人が原則2割の自己負担となるが、重い病気で入院して治療が長引くと、医療費の自己負担額は高額になる。

 

 そこで家計の負担を軽減できるように、一定額を超えると払い戻しを受けられるのが「高額医療費制度」だ。1カ月に支払った医療費が自己負担限度額を超えたとき、その超過分を支給してもらえる。

 

 高額療養費の自己負担限度額は、70歳以上か未満か、あるいは所得基準によって変わってくる。この制度は、病院でいったん高額の治療費を払い、後から還付されるものだが、あらかじめ健康保険協会や健保組合で「限度額適用認定証」をもらっておくと、病院で自己負担限度額までを支払えばよく、高額のお金を準備する必要がない。

 

 介護費でも「高額介護サービス費支給制度」がある。国の介護保険制度では、1カ月の自己負担額には所得に応じた限度額が設けられており、介護費が高額になった場合は超過分を払い戻してもらえる。

 

 さらに、同一世帯のなかに、1年間で高額の医療費がかかった人と、高額の介護費がかかった人がいれば、それらを合算し、限度額を超えた分が還付される「高額医療・高額介護合算療養費制度」がある。この制度は同一人物でも還付が可能だ。

 

 例えば、70歳〜74歳のいる一般世帯で年間56万円以上、高所得者(月額28万円以上)でも年間67万円以上かかった分は還付される。一般世帯が1年間に医療費、介護費合わせて70万円かかったとすると、「70万円-56万円」で、14万円が還付されることになる。(2017/07/17)