遺産分割協議に呼ばれなかった

相続回復請求権とは


 遺産分割協議に参加させてもらえず、遺産を一銭ももらえないということは起こり得る話だ。相続人であることを無視されたときは、どうしたらよいか。

 

 これは、「相続回復請求権」の問題となる。相続とは、包括的な継承であり、その権利が侵された場合も、包括的に回復を求めることができる。相続回復請求権は、侵害者に対し相続権を主張し、「相続分に当たる財産を全部引き渡せ」と言う権利のこと。つまり、個々の財産そのものの請求権にとどまらず、相続人たる地位の回復を要求する権利である。

 

 なお、相続財産に不動産がある場合、不動産の所有権移転登記では、遺産分割協議書や相続人の印鑑証明書が必要となる。事実上、相続人の誰かを抜きにした遺産分割協議は法的には不可能だ。

 

 相続回復請求権は、侵害の事実を知ったときから5年間(時効期間)、相続開始から20年間(除斥期間)で権利が消滅するので、早めに権利を行使しなくてはならない。(2017/06/16)