マンションの地震保険

大規模被害に備える


 分譲マンションの管理組合では、多額の資金が必要となる大規模修繕に備えて、計画的に修繕費を積み立てているのが一般的だ。積立金が十分でない状態で地震災害などによる修繕が必要になれば、金融機関からの融資を受けるか、所有者がお金を出し合って資金を工面しなくてはならなくなる。

 

 そこで、万が一に備えて売り出されているのが「地震保険」だ。火災保険に付帯して加入するもので、分譲マンションでは、専有部分は住民が個々に加入し、エレベーターや付属設備などの共有部分については管理組合で加入する。

 

 損害率3%以上20%未満の「一部損」の支払額は契約金額の5%、20%以上50%未満の「半損」は50%、50%以上の「全損」で100%の保障となっている。東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県での地震保険加入率は全国で2番目の高さだったが、それでも32・7%であり、多くの人が補修をあきらめざるを得なかった。

 

 マンションの区分所有者の懐事情はそれぞれだ。すでにローンを支払い終えている人もあれば、まだ数十年支払いが残っている世帯もある。費用負担が重くなれば、修繕の合意形成も難しくなる。いざというときのための地震保険を考えておきたい。(2017/07/29)