昔は半身に構えて、今は真横を向いて、ひとと話すようになった職業はなに?答えは「お医者さん」だそうだ。医師が「そっぽを向いたままで、ろくに話を聞いてくれない」という患者の不満は、とくに、お年寄りに多いという▼カルテを手書きしていた頃は、それを書きながらでも半身になって問診してくれていたのに、いまではパソコンの画面に向いたまま、「こっちを見ることもなく診察が終わる」と、患者は不満をもらす▼医者にも言い分はある。具合の悪い患者に長々と質問するのは酷だ。インフルエンザ患者に至近距離で向き合っていては、医者もすぐに感染することになる。患者から症状を聞き取るのも重要だが、検査結果の数値から今後の治療法を決めていかなければならないし、レセプトにきちんと入力しなければならないから、必然的にパソコン画面とにらめっこの状態にもなってしまう▼「身体に触れもしない」というのも、患者の不満のひとつ。「聴診器もあててくれない」「胸の音すら聞いてくれない」ということらしい。その一方で、「必要以上に触られた気がする」というクレームもある。そして、こうした患者の不満は、「口コミ」情報としてネットに書き込まれてしまうから厄介だ▼集患のためには「向き合って話を聞く」姿勢が重要だ。決して「それは牧師の仕事だ」などと言ってはいけない。