【妊婦加算】(2020年1月号)


2019年1月から凍結となっている「妊婦加算」。厚生労働省は、どうやら再開を断念するようだ▼妊婦加算は文字通り、妊婦が医療機関を受診した際に「加算」されるもの。自己負担が増えるのだから当然、妊産婦は強く反発。「少子化に歯止めをかけるためには妊産婦の負担を軽減するべきなのに、制度はこれに逆行するもの」という声は切実だ▼制度は18年4月に導入された。受診すると一律加算される仕組みのため、投薬を伴わないコンタクトレンズの処方など妊娠とは直接関係ない場合にも適用されていた。こうした事実が発覚すると「妊婦税だ」と批判され凍結に追い込まれた▼20年度の診療報酬改定で正式に廃止する方針を固めた厚労省では、すべての患者を対象に、主治医と専門医の情報連携に診療報酬を上乗せする新たな仕組みを検討している。糖尿病や高血圧で内科を受診した際、産科の求めに応じて内科が情報を提供すれば、内科に診療報酬が上乗せされるようにするという▼かかりつけ医と専門医が情報連携することで不要な薬をやめる機会になれば、結果として無駄な医療費も減らせる。しかし、「妊婦加算」が「すべての患者加算」になってしまうだけでは、まったく意味がない。医療機関は制度本来の効果を発揮させたい。