「百足(ひゃくそく)の虫は死して僵(たお)れず」という。ムカデは足が多いので死んでも倒れない。多くの支持があれば容易に滅びないことのたとえだ。しかし「一行(いっこう)失すれば百行(はっこう)ともに傾く」わけで、ひとつでも行いに過ちがあれば百の善行もすべて色褪せてしまう。新聞では100行の原稿のうち1行にでも間違いがあれば、その記事がすべてダメになる▼そうなると、それまで支持してくれていたひとたちの心境としては「百年の恋も一時に冷める」思いだろうし、「可愛さ余って憎さ百倍」ともなりかねない。人間がやることである以上「百発百中」の精度を維持するのは困難だが、かといって開き直るわけにはいかない。ミスを起こしてしまったら、すぐさま「一罰百戒」の姿勢を示して再発防止に取り組みたい▼「彼を知り己を知れば百戦殆からず」と孫子は言う。顧客や取引先のニーズを的確につかみ、自社の能力を正確に把握できていれば「百戦百勝」も夢ではないだろう▼さて、本紙は読者諸賢に支えられ、おかげさまで通巻100号。「百戦錬磨」の専門家らによる寄稿の数々はまさに「百花繚乱」。「議論百出」のテーマも「読書百遍」で理解できるようになるものだ。だが「百様を知って一様を知らず」では意味がない。本紙は今後も「百川海に学んで海に至る」媒体であり続けたい。