【それがどうした】 (2018年10月号)


警察に密着取材したテレビ番組。「標識に気付かなかった。わざと見えにくい場所に設置している警察が悪い」と、駐車違反でキップを切られたひとが執拗に抗議している。「病院から、子どもが生まれたという知らせがあったので急いでいた。仕方がないだろう」と、こちらはスピード違反のドライバー。基準値を上回るアルコールが検出された運転手は「昨晩は確かに飲んだが、きょうは一滴も飲んでない」などと開き直る▼無論、そんな言い訳が通用するはずもない。税金の世界も同じこと。「知らなかった」「気付かなかった」などといったところで、国税当局は許してくれない。申告や納付の期限が過ぎてしまったら、青色申告は取り消されてしまうし延滞税もとられてしまう。融通が利かないこと甚だしいが、それが税の公平性・公正性を守るためのルールだ▼財務省は「解釈の仕方の違い」といい、法務省は「誤解があった」と表現した。障害者雇用水増し問題。国土交通省に至っては「(水増しした)数が多いのは(職員の)母数が多いことも理由だ」と言い放った。白バイ警官ならずとも、「あんた、酔っ払ってるのか?」と問いたくなる支離滅裂な言い訳だ。各省庁とも「故意ではなかった」などと口を揃えるが、それがどうした。許されるものか。例外を認めず、公平・公正に処分するだけのことだ。