孫に不動産を残すと遺言

不動産取得税の課税対象に


 父親が息子と孫に土地を残すと遺言して亡くなったとする。この遺言どおりに遺産分割されると、孫には不動産取得税が課税されてしまう。

 

 不動産収得税は、家屋の新築や増築、改築、土地や家屋の購入、贈与、交換などによって新たに不動産を取得すると課税される。だが、相続によって不動産を取得した場合には、この税金はかからないことになっている。

 

 しかし、この規定の対象となっているのは民法上の「相続人」による不動産取得に限られる。民法上の相続人とは亡くなった人の配偶者、子ども、親、祖父母、兄弟姉妹までを指し、孫は含まれない。

 

 不動産取得税以外でも、孫への遺産引き継ぎは、その父親がすでに亡くなっている「代襲相続」を除いて、相続税の2割加算ルールが適用されるなど、民法上の相続人よりも負担が増える扱いとなる。

 

 法定相続人でない孫に遺産を取得させるためには遺言が不可欠となる。遺言なしでも、一度その父親が財産を受け取って、その後に生前贈与するという方法があるが、相続税に加えて贈与税もかかってしまうためお勧めできない。孫に財産を残したいのなら遺言を書いておくようにしたい。(2021/05/19)